鳴子温泉峡 湯治生活

【鳴子温泉について】

<鳴子温泉の利点>

 2007年に交通新聞社の『旅の手帖』にて「青春18きっぷで行く温泉番付」の東の横綱に鳴子温泉が選ばれました。選定理由としては、雑誌や企画の特性上、交通の利便性が重要視されたように思います。駅のすぐ近くに温泉街がある所は全国でもそう多くはありませんが、陸羽東線の終点にあたる『鳴子温泉駅』で電車を降りた瞬間に強烈な硫黄臭と湯けむりに包まれ、自然と「あ~温泉に来たな~」と感じさせてくれます。管理人もそれほど数多くの温泉を訪れたわけではありませんが、少なくともそういう経験は『鳴子温泉駅』でしか味わったことがありません。


 私も旅行会社にて観光案内の仕事をしていた経験がありますが、駅から近い温泉地という要望は非常に多く、正直温泉の質は2の次でもアクセスが良ければいいというのは、旅行をする上での重要なポイントとなっていました。それを踏まえて鳴子温泉はアクセスの良さだけではなく温泉自体が非常に良質な上、約60ある温泉施設がそれぞれ独自の個性的な温泉を持っています。


 また『鳴子温泉駅』を含む『川渡温泉駅』、『鳴子御殿湯駅』、『中山平温泉駅』の連続した4駅は、いずれも駅から徒歩圏内にタイプの異なる温泉街があります。『鳴子温泉駅』を起点としていずれの駅にも電車で10分以内で行けるため、湯巡りをするのに最適な温泉地となっております。


 このページでは、それぞれの駅ごとの温泉街の特徴を説明します。ちなみに『鳴子温泉駅』から山形方面へ向かう途中にある『赤倉温泉駅』と『瀬見温泉駅』も鳴子温泉郷に含まれます。しかしこの2つの温泉地は少し離れた所にあるため、当サイトではこの連続した4駅の温泉地のみを取り上げさせていただきます。あらかじめご了承ください。

<鳴子温泉>

■鳴子温泉温泉街

■鳴子温泉駅足湯

■鳴子温泉遠景

■公衆浴場『滝の湯』

 鳴子温泉郷の中心で、『鳴子温泉駅』を降りるとすぐ温泉街になっています。駅には足湯も設置されているので、着いたらまずここで一休みしてもいいかもしれません。『鳴子温泉駅』は団体客用の大型ホテルからこじんまりとした旅館に湯治宿など様々なタイプの宿泊施設があります。『鳴子温泉駅』は坂の真ん中に位置しているのですが、駅から向かって坂を登っていった温泉街に団体専用のホテルが集まり、駅から左側の坂を下っていったエリアに中型の宿泊施設があり、いずれも駅から徒歩10分圏内に多数の宿が集中しています。更に左側のエリアを先に進んで、駅から徒歩20分くらいの離れた所にも団体専用のホテルがいくつかあります。


 『鳴子温泉駅』の湯治宿は、駅の反対側の少し離れた所に転々とあります。温泉街からは外れていますが国道沿いにあるので、生活用品を一式持って車で訪れてもいいかもしれません。買い物ですが、以前は湯治宿の『東多賀の湯』と『西多賀旅館』の隣りに大きなスーパーがあって便利だったのですが、残念ながら建物の老朽化に伴い数年前に閉店してしまいました。そのため現在では、駅前に小さなスーパーと少し離れた所にコンビニが2件あるだけなので、自炊をするには少し不便かもしれません。


 『鳴子温泉駅』の温泉は施設の数も多く様々な種類の温泉がありますが、坂の上にある鳴子温泉のシンボルでもある公衆浴場『滝の湯』は一度は入ってみることをお勧めします。入浴料もわずか200円と格安です。

<鬼首温泉>

■オニコウベスキー場

■吹上公園キャンプ場

■地獄谷遊歩道

■吹上温泉『峯雲閣』

 『鳴子温泉駅』前から出ているバスを約30分で、鳴子温泉郷の1つ鬼首温泉へも行けます。鬼首温泉は山の上にある温泉地で、夏はキャンプ、冬はスキーとレジャーを楽しみながら温泉を楽しむことが出来ます。鬼首温泉の観光スポットは、お湯が至る所から湧いて出ている地獄谷遊歩道、温泉が勢いよく噴き出す間欠泉などがあるので、ちょっと散策はいかがでしょうか。


 夏の間しか入浴することが出来ませんが、「吹上温泉峯雲閣」の露天風呂は温泉水が滝となって流れ落ち、天然の滝つぼがそのまま湯舟になっているので、自然と一体化する気分を味わえるワイルドな野天風呂です。ただ雨の後はぬるくなって入ることが出来なかったり、時期によってはアブに悩まされますので入浴の際はお気を付けください。

<東鳴子温泉>

■東鳴子温泉温泉街

■鳴子御殿湯駅

■江合川

■共同浴場『馬場温泉』

 『鳴子温泉駅』の隣り、電車で3分の『鳴子御殿湯駅』にあるのが東鳴子温泉です。『鳴子御殿湯駅』は『鳴子温泉駅』とは違って静かで鄙びた温泉街となっています。ここも駅の周辺に宿が集まっているのでアクセスが便利です。駅周辺も静かですが、温泉街から川を挟んだ離れた所にも温泉宿があり、より静かな環境をお望みの方はこちらの宿もお勧めします。


 宿はほとんど小さな温泉旅館で、その中の多くが湯治宿となっています。買い物面でもスーパー、ドラッグストア、コンビニと比較的充実しているので生活もしやすくなっています。駅前にある『おみやげの店なるみや』には、鳴子温泉のブランド米「ゆきむすび」1kgが販売しているので、自炊生活をするならまずこれを買ってみるのはいかがでしょうか。


 東鳴子温泉は美肌の湯の重曹泉を基本としつつ、宿によってそれぞれ独自の個性的なお湯を持っています。宿と宿もそれほど離れていないので、散歩がてら楽しい湯巡りが出来ます。ここでしか味わえない特徴的な独特の油の臭いのするお湯も多く、最初は少し不快感をもよおすかもしれませんが慣れてくるとこの臭いに病みつきになってしまうという人も多いです。

<川渡温泉>

■川渡温泉入り口

■川渡温泉駅

■菜の花畑

■川渡温泉共同浴場

 『鳴子温泉駅』から電車で8分、古川駅方面から来た場合は鳴子温泉郷の玄関口にあたるのが『川渡温泉駅』です。名前の由来でもある江合川を渡り田園を抜け、駅から車で約5分の静かでこじんまりとした鄙びた温泉街です 。


 鳴子温泉郷では最も古い歴史のある温泉地で、古くから「脚気川渡 かさ鳴子」と呼ばれるほど効能豊かな温泉として知られています。温泉はうっすら緑色の硫黄泉と重曹泉のミックスが多く関節痛に効くと言われています。


 こじんまりとした温泉街の中に4件の宿と1件の共同浴場が集中していて、その内3件が湯治宿となっています。しかしスーパーやコンビニの類は無くその点では不便かもしれません。その代わり魚屋、八百屋、豆腐屋、酒屋といった商店で買い物は出来るので、本格的な湯治をしたいという方にはおすすめです。また温泉街から少し離れた所にもいくつか宿があります。


 駅から離れていることもあって他の温泉街に行くのは多少大変かもしれませんが、川渡温泉の周辺には菜の花畑、桜並木、白糸の滝を始め景勝地がいくつかあります。川渡温泉に宿泊した時は川渡温泉のみでゆっくりと過ごしてみてもいいかもしれません。


 1日の本数は少ないですが古川駅から鳴子温泉駅を結ぶバスが走っていて、これを利用すれば電車よりも楽に他の温泉街や道の駅へ行くことが出来ます。また温泉街から川渡温泉駅には約20分、東鳴子温泉には約30分ほど歩けば行けるので、ウォーキングがてらいかがでしょうか。

<中山平温泉>

■大谷川

■中山平温泉駅

■鳴子峡の紅葉

■『しんとろの湯』

 『鳴子温泉駅』の隣りの駅、山形方面へ電車で7分『中山平温泉駅』です。中山平温泉は温泉街といったようにまとまってはおらず、山間に宿が点々と離れて存在しているので湯巡りをするのは少し大変かもしれません。


 湯治宿も1件ありますが、店の類がほとんどないため長期間の湯治生活をするには不便です。ここで湯治生活をしようと思ったら、他の駅に行って買い出しをしてくるしかないです。


 ただし中山平温泉駅のある陸羽西線は、古川~鳴子温泉を結ぶ陸羽東線に比べると1日の本数が非常に少ない上に、バス等の他の交通機関も紅葉の時期のみに運行する臨時バスのみで、普段は走っていません。また川渡温泉~東鳴子温泉~鳴子温泉はそこまで離れていないので、散歩がてらの移動もそこまで大変ではありませんが、さすがに鳴子温泉から中山平温泉までの徒歩での移動は一苦労です。


 そのため中山平温泉に宿泊する場合は、あくまで通常の観光で訪れゆっくりするのが良いと思われます。宿は駅のすぐ裏にある『三之亟湯』を除くとどこも駅から離れた所にありますが、それでも全て徒歩10~20分以内の所にあり、国道沿いにある旅館と国道からは外れた山間にある旅館とに分かれています。


 中山平温泉と言えば、ぬるぬるした触感の美人の湯、通称うなぎ湯で有名です。一度ここに入ってしまうと本当に病みつきになってしまいリピーターになること請負です。ただしうなぎ湯は非常に滑りやすいので、入浴の際は足元にお気を付けください。気を付けるのは浴場だけでなく温泉水が道に溢れ出てることもあり、山間部を歩く際は非常に危険で油断大敵です。


 中山平温泉と言えば、東北有数の紅葉スポットの『鳴子峡』が有名で、シーズンは多くの観光客で賑わいます。しかし基本的には静かな温泉地なので、普段訪れてゆっくりするのもよし、紅葉を観に訪れるのもよしです。

<湯めぐりチケット>

■湯めぐりチケット

■こけし手形

■鳴子温泉駅観光案内所

■温泉街で湯めぐり

 以上の通り鳴子温泉郷の鬼首温泉を含む5つの温泉地はいずれも違った魅力があり、更に1つ1つの温泉が全く違う個性豊かな温泉となっているので1~2泊だけでは勿体なく、当サイトで推奨しているように数週間の湯治生活をしながら様々な温泉を湯巡りして欲しいと思います。


 その際に役立つのが湯めぐりチケットです。湯めぐりチケットは『鳴子温泉駅』の観光案内所にて1枚1,300円で販売しています。チケットには6枚のシールが付いていて、使用できる温泉施設ごとに設定されているシールを渡すことによって入浴することが出来ます。シール1枚当たり約216円で、通常料金だと1枚当たり250円前後に相当するのでお得です。


 湯めぐりチケットは、赤倉温泉、瀬見温泉を含む7つ全ての温泉地で使用出来ます。ただし全ての入浴施設で使えるわけではなく、使用期限も半年間と決まっています。湯めぐりチケットは鳴子温泉以外の対象施設で買うことも出来ますが、売り切れているケースも多いのでお気を付けください。


通常の湯めぐりチケットとは別で、こけし手形付きの物も1,800円で販売しています。この手形を協賛店で出すと様々なサービスを受けることが出来ます。